相続Q&A

相続相談事例

「何も相続しない」から、分割協議に出なくてもいいでしょう?

相続放棄と遺産分割は、全く異なるものです

「何ももらわないのだから、『相続放棄』と同じ。協議なんて出なくていいじゃないか」-このようにお考えの相談者の方は多く、また「何も受け取らないことが『相続放棄』だ」とまでおっしゃる方まで大変多いのですが、これらは全て大変大きな勘違いです。法的には、両者は全く異なるものだからです。

遺産分割協議は、相続人全員の同意によって成立しますので、何も相続しないとしても、「相続財産ゼロ」であることを協議で同意する必要があります。ただし、たとえプラス財産を何も受け取らなくても、相続放棄とは違い、借金などのマイナス財産は相続してしまう点、注意が必要です。

反対に、相続放棄は、最初から相続人でなかったことになるので、あらゆるものを相続しない点が遺産分割とは違いますが、ただ何ももらわなければ良いのではなく、法律の規定に則り、家庭裁判所における申述という手続をしなければ成立しません。

遺産分割協議では、たとえ預貯金・不動産など何ももらわないということでは相続放棄と効果が同じになったとしても、借金は相続するという効果の点で、また相続放棄は、法律の規定に従った厳格な要件が必要という点で、両者は全く違う手続きです。
遺産分割に出ないことで相続放棄の代用にすることは、全くできません。(※相続放棄については、「Q&A~相続放棄」を参照)