相続相談事例集

特別縁故者への財産分与と相続放棄

Aさんは、妻Bに先立たれ、お子さんもなく、一人で自動車部品のメッキ工場を経営されていました。その後、妻甲さんを迎えましたが、戸籍上届けていませんでした。

Aさんは、永年にわたり、メッキに使う薬品に身を侵されていたらしく、ある晩急死されました。Aさんには不動産や預金がかなりありましたが、Aさんは遺言状を遺しておられず、また先妻Bさんや妻甲さんとの間にお子さんがおられず、相続権があるのは、実兄であるCさんだけでした。内縁関係でしかない妻甲さんは、法的には相続人ではありません。

妻甲さんに対して感謝をされている実兄Cさんは、相当悩みました。Aさんの工場と日常生活共に、妻甲さん抜きではありえないほど妻甲さんに支えられており、いわばAさんと妻甲さんとでAさんの財産は築かれてきたのにも関わらず、妻甲さんには財産が渡されないからです。また、あれほど尽くした妻甲さんの生活も成り立たなくなるという現実があります。当時は贈与税の税率が相続税よりも高いため、実兄Cさんが相続を受け、そこから妻甲さんへの贈与というのも使いにくかったご様子です。
そこで、実兄Cさんは、小川勝久顧問に「このような場合に何とかならないか?」とのご相談に来られました。

贈与を使わず、妻甲さんに財産が渡るためには、Aさんに相続人がおらず、妻甲さんが特別縁故者として家庭裁判所に認めていただく以外、方法はないだろうと小川勝久顧問は考えました。そのためには、今は相続権がある実兄Cさんには、相続放棄をすれば、実兄Cさんは最初から相続人でなかったことになり、相続権者がいなくなるので、特別縁故者の制度を使うことができることを説明しました。

実兄Cさんは、大変喜ばれ、相続放棄を小川勝久顧問に依頼されました。

相続放棄手続きでは、「他の者に相続分を増やす」などの理由も認められるので、相続放棄も認められ、その後法定の手続きと期間を経て、特別縁故者として申立てを行い、無事に認められました。