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相続の専門家 司法書士が運営する相続問題相談室(大阪)

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相続問題相談室(大阪市北区西天満)
相続問題相談室トップページ > 相続相談事例集

相続相談事例集

皆様から実際に寄せられた相談事例の中で、代表的なものをご紹介いたします。

 

遺産分割

相続分と寄与分

Aさん(会社員)には、父甲・母B・兄C・姉D・弟E・妹Fがいます。DさんとFさんは既に嫁がれています。 甲さんは、家(土地100坪・建物50坪)、田(7500坪)、畑(2400坪)、山林(15000坪)および亡くなった時には農協の預金3000万円ほどを保有していました。

甲さんは、Bさん・Cさんとともに、農協を営み、AさんとEさんを大学にやり、DさんとFさんを嫁がせました。全員が独立して家庭を持つようになってしばらくしてから、甲さんが亡くなり、相続が開始しました。
Aさんは、当相談室に来られ、以上のようなご事情をお話しになられた上で、どのように相続財産を分けたら良いかをご相談になられました。

当相談室としては、相続人の皆さんとお会いしてから決めては?とAさんに提案し、Aさんの故郷に一緒に行くことになりました。Aさんの故郷では、遠方に住んでおられるEさんを除き、AさんとBさん・Cさん・Dさん・Fさんが会合を開きました。
Bさんは、「Cに家の土地・建物と、田畑の農地、山林を相続させたい」と意見を言われました。Cさんは、地元の農業高校を卒業してから、甲さんとBさんとともに家業の農業を継がれ、家計を支え、兄弟を大学にやり、姉妹を嫁がせていたからです。これには、その場にいたほかの兄弟全員に異議はありませんでした。そこで、遠方にいるEさんに電話で話したところ、Eさんは、Aさんたちと同様、兄Cさんがいたからこそ自分の今日があるとの思いから、この案に承諾しようとしましたが、傍で話を聞いていたEさんの奥さんE’さんが隣りから話に割り込み、様子がおかしくなりました。

E’さんとしては、「そのような話は、全く承諾できない」と頑として納得しません。Eさん一家の子どもの養育費のために、E’さんとしては、この際少しでももらっておきたい意向のようです。
それまでの話で、まだ何も発言していなかったAさんは、「Eに1500万円を相続させて、残りをBの老後の生活費にあててはどうか?」と初めて意見をおっしゃいました。しかし、それを聞いたE’さんは、一笑に付して全く応じません。

そこで、「Cさんは、甲さんと共に農業に従事し、家計を支えてきたのだから、甲さんが亡くなるまで、甲さんの財産の維持・増加にCさんが特別の寄与してきたと認められるので、Bさん他相続人の皆さんで協議して認められた寄与分を相続財産から差引き、残りを遺産分割の対象として分配することができる」と、「寄与分」の制度を説明しました。
もし、遺産分割協議で決定できないときは、家庭裁判所での調停などの手続きで決定することができることも説明しました。
Aさんは、「こんなときのための制度ではないか」と、相続人の皆さんに話し、Eさんも含め、相続人全員が制度に全く異存がありませんでした。

結局、家・田畑・山林などを全て寄与分として認め、残りはAさんの意見が取り入れられた遺産分割協議書が作成され、全員の調印がなされ、相続登記も終了し、遺産分割は滞りなく終了できました。

相続人の中に生死不明な不在者がいるケース

Aさん(長女)には、B(長男)・C(次男)・D(次女)・E(三男)の兄弟がありました。Bさんは、第二次世界大戦のニューギニア戦線で戦死され、Cさんは10年以上行方不明、Dさんは結婚して嫁ぎ、Eさんは、両親よりも先に亡くなられ、妻との間にE1・E2の一男一女をもうけておられました。
Aさんご兄弟のお父上である甲氏が昭和40年に亡くなられており、甲氏所有の土地建物が甲名義のままになっていました。母上である乙氏は、甲氏よりも先に病没されておられます。
Aさんたちは、甲氏の土地建物をEさんの遺児であるE1・E2両氏の物としたいと考え、当事務所のもとにご相談に来られました。

遺産分割と相続登記の依頼を受け、早速、相続人の確認とCさんの行方の調査を開始しました。

調査の結果、確かに、相続人は、Aさん、Cさん、Dさん、Eさんの代襲相続人であるE1さんE2さんであると判明しました。
しかし、問題は、10年以上行方不明で音信不通のCさんです。Cさんは、戸籍と住民票の上では、本籍地に住所を定めたままで、現在もそこに居住していることになっていますが、勿論実際は居住していません。
そこで、Aさんに「Cさんと最後に連絡がとれたのはいつでしょうか?」と尋ねたところ、10年ほど前に、戸籍と住民票記載の住所地からは遥か遠隔地である横浜局消印の葉書が届いたきりであるとおっしゃいます。その他には、相続人全員にも何の手がかりがないことが分かりました。
その他にも八方手を尽くして知人や親戚などをあたり、Cさんの行方を捜しましたが、一向に判明せず、結局、Cさんは行方不明のままでした。
このままでは、現在存命が判明している相続人だけで遺産分割ができない状態になっています

そこで、最後の手段として失踪宣告(民法30条1項)の申立てを行う以外、方法は無いと判断し、Aさん他相続人全員に説明いたしました。Aさんたち全員も納得され、申立てを行うことになりました。

失踪宣告は、不在者の生死が7年間明らかでないこと(普通失踪)の要件を満たすと考えられます。Cさんの本籍地管轄の家庭裁判所に利害関係人であるAさん他相続人全員が申立てを行い、家庭裁判所より失踪宣告がなされました。
失踪宣告は、7年間の期間が満了した時点で死亡したものとみなされます(民法31条)。これで、Aさん、Dさん、E1さん、E2さんで遺産分割をすることができるようになりましたので、全員で協議し、遺産分割協議書が作成され、やっとAさん他相続人全員のご希望通り、甲氏名義の土地建物をE1さんE2さん両氏への所有権移転登記(各持分2分の1)をすることができました。

しかし、事態は誰も予想しない方向へと動きました。遺産分割後、僅か2ヶ月足らずで、何と、Cさんの存命が発覚したのです。
Cさんは、どうしても戸籍が必要になり、取り寄せてみたところ、自分が失踪宣告を受け、死亡したものとして扱われていることを知り、市役所と家庭裁判所に申し出て説明を受け、びっくりしたCさんから直接Aさんに連絡があったというのです。
Aさんは、大変驚かれると共に、「遺産分割はどうなるのだろうか?」と大変心配なされました。

そこで、当相談室は、Aさんを始めとする相続人全員が、Cさんのご存命について全く知らなかった(Cの生存について善意)のであるから、今回の失踪宣告は取り消されるだろうが、遺産分割の効果は変わらないこと(民法31条)を説明しました。

後に、Cさんも事態の全容を知り、家庭裁判所で説明を受けてきたので、「自分に非があるのだから」と遺産分割に全く異議は無いことを明言され(それよりもご自分の失踪宣告の取り消しの方が重大だったようです)、遺産分割による相続登記は、当初の予定通りの結果に終わりました。

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遺言執行

先妻の子と後妻の遺言

Aさんは、甲さんと結婚し、共に小学校教諭として定年まで勤務しました。甲さんは、定年後も私立大学附属小学校の校長も勤めるほどの教育者でしたが、76歳で亡くなりました。

甲さんは、Aさんとの結婚は二度目で、甲さんとAさんの間にはお子さんはおられず、先妻との間に乙さん、丙さん、丁さんのお子さんがおられます(ただし、Aさんとは養子縁組はしていません)。乙さんは長男で、青年になるまでは甲さんとAさんと同居し、その後、京都の嵯峨野でお寺の住職になられました。

Aさんには、ご自身のものと甲さんから相続したものとを合わせて、相当多額の預金がありました。住職乙さんは、「老後の面倒は自分が見る」とAさんに熱心に説得し、自分のところに来させました。ところが、住職乙さんは、最初こそ手厚くもてなす姿勢を見せていましたが、何かにつけて預金目当ての行動がすぐに目立つようになりました。
これをAさんから打ち明けられ、助けを求められたAさんの実弟Xさんは、「何たることか!このままでは、金をむしり取られて姉が生活できなくなる!」と直感し、姉Aさんの希望通りすぐにXさんのもとへ引き取り、財産も全て引き渡すように住職乙に迫りました。
調べてみると、「生活費」と称して預金を下ろさせたり、「印鑑が必要だ」と言って銀行届出印を持ち出させ、勝手に自分の借金の担保にAさんの預金を当てたりするなど、思ったよりも相当酷いことをしており、最初からAさんの財産目当てではなかったか?と思える行動をしていたことが分かりました。

さらに、住職乙さんは、知り合いの京都の弁護士のところへ連れて行き、「Aさんの財産は、全て住職乙さんに遺贈する」という内容の遺言書を書かせ、署名・捺印を行わせるという、極めてあからさまな行動をしていることが、Aさんの告白によって分かりました。

怒り心頭となったXさんと、またあのような行動に出る乙さんに全財産を渡すような遺言書を書いたことを後悔されているAさんは、どうしたものかと小川勝久顧問のもとにご相談に来られました。

小川勝久顧問は、相談内容を伺い、最初はかなり驚きました。相続の骨肉の争いは多く見てきましたが、先妻の子が後妻の財産を狙うなど、見たことも聞いたこともなかったからです。

小川勝久顧問は、とにかくまず、担保に入れられた預金について住職乙さんと話し合い、担保をはずさせた上で全額取り返し、Aさんの暮らしが立つようにしました。その上で、AさんとXさんには、遺言書については三種類あること、Aさんが書いたのは、ほぼ間違いなく自筆証書遺言と呼ばれる方式であること、遺言書の効力が生じるのは、Aさんがなくなった時であること、だから生存中に遺言の取り消しを後から書いた遺言で行うことができること、さらに、後から書いた遺言書と前の遺言書とで、内容が相反するなど抵触する部分があるときは、後の遺言で前の遺言を取り消したものとみなされること(民法1023条)などを説明しました。
Xさんと、特にAさんはとても安心したご様子になられました。

そこで、Aさんより、「実弟Xに全ての財産を譲ることにしたい」という強いご希望が出されました。小川勝久顧問は、住職乙さんには相続権が無く、既にご両親が他界されたAさんとXさんの場合、相続人はXさんしかいないので、「それならば、『実弟Xに全財産を相続させる』という内容の公正証書遺言を作りましょう」とお勧めしました。
これまでの説明を聞いて安心されていたAさんは、すぐに手続きを依頼され、ご希望通りの公正証書遺言を公証人役場で作成してもらうことができました。
この遺言書では、遺言執行者を小川勝久顧問に指定されていました。

それから3年後、小川勝久顧問は、XさんよりAさんが亡くなったことをお知らせ頂き、お通夜の席に一緒に出てほしいとの要請を受けました。お通夜に着いてみると、丁度住職乙さんが、参列者一同の前で、得意満面に遺言書を披露しているところでした。
そこで、小川勝久顧問が、その遺言書は、その後に作成された公正証書遺言で全て取り消されており、効力は後に作成された公正証書遺言が全て優先していること、自分が遺言執行者に指定されていることを一同の前で住職乙さんに説明しました。
愕然となった住職乙さんは、その場で憤然とお通夜の席を立ち、そのまま翌日の葬儀にも出席しませんでした。
住職とはとても思えぬ大変呆れた態度でしたが、親族一同は、これからの相続内容をお聞きになって、大変安心されたご様子でした。

その後、遺言書通り、小川勝久顧問によってXさんへ全財産が引き渡されました。

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相続登記

相続人が多数に及んでしまった例

A村には、農業用水用の大きな溜池がありました。この村では、通常は設立されている水利組合がなく、ただ単に、利用している農家100人で共有している状態で、登記もそのようにされていました。
その後、時代が変わり、その村では宅地が多くなって農家が減り、溜池の利用価値が大きく減ってしまいました。そこで、村としても人口を増やすことと土地の利用価値を高めるため、溜池を宅地として造成・販売する計画を立ち上げました。
そのためには、まず古くから放ってある溜池の権利関係と登記関係をはっきりさせ、整理する必要がありましたので、村の溜池の権利者たちは、伝手を頼って当相談室に相談をされました。

当相談室では権利者の方々から事実関係を伺いました。
しかし、そこで分かったことは、普通の相続登記とは、全くレベルが違う複雑な事実でした。
最初は100人であった権利者には、数世代にわたる相続関係が生じている上に、相続人の多くは、数世代前に村を離れている状態です。更にお聞きすると、溜池の権利者の相続人として推定される人をざっと調べただけでも数百人を超えるのではないか?ということが分かりました。

当相談室は、村の権利者の方々の説明を伺い、ひどく驚きました。しかし、「これだけの相続関係を正すのはほとんど不可能ではないか?」と困り果てた権利者の方々を見て、何とかしようと考えました。
ここからは、相続登記としては全く異例な綿密な調査と相続関係の明確化作業を開始しました。

調査をして明らかにしてみると、これは極めて複雑なものとなることがはっきりしました。相続人に当たる方は、何と700人を超え、中には、相続人が行方不明というケースが数件ある有様であることが判明したのです。

ここからは、一軒一軒の方をあたり、遺産分割協議を各家々で行いました。中には、既に面識はおろか存在すらお互い知らない親戚間の話し合いもあり、大変なものとなりました。さらに、どうしても行方不明の方もおられ、他の相続人にお願いして家庭裁判所に失踪宣告の手続きを行っていただくなど、膨大な作業となりました。

しかし、幸いにも、この権利関係を争う方はほとんどおられず、これだけの相続関係でありながら、何とか6ヶ月で全ての遺産分割協議が整い、溜池の相続登記をすることができました。

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相続放棄

特別縁故者への財産分与と相続放棄

Aさんは、妻Bに先立たれ、お子さんもなく、一人で自動車部品のメッキ工場を経営されていました。その後、妻甲さんを迎えましたが、戸籍上届けていませんでした。

Aさんは、永年にわたり、メッキに使う薬品に身を侵されていたらしく、ある晩急死されました。Aさんには不動産や預金がかなりありましたが、Aさんは遺言状を遺しておられず、また先妻Bさんや妻甲さんとの間にお子さんがおられず、相続権があるのは、実兄であるCさんだけでした。内縁関係でしかない妻甲さんは、法的には相続人ではありません。

妻甲さんに対して感謝をされている実兄Cさんは、相当悩みました。Aさんの工場と日常生活共に、妻甲さん抜きではありえないほど妻甲さんに支えられており、いわばAさんと妻甲さんとでAさんの財産は築かれてきたのにも関わらず、妻甲さんには財産が渡されないからです。また、あれほど尽くした妻甲さんの生活も成り立たなくなるという現実があります。当時は贈与税の税率が相続税よりも高いため、実兄Cさんが相続を受け、そこから妻甲さんへの贈与というのも使いにくかったご様子です。
そこで、実兄Cさんは、当相談室に「このような場合に何とかならないか?」とのご相談に来られました。

贈与を使わず、妻甲さんに財産が渡るためには、Aさんに相続人がおらず、妻甲さんが特別縁故者として家庭裁判所に認めていただく以外、方法はないだろうと当相談室は考えました。そのためには、今は相続権がある実兄Cさんには、相続放棄をすれば、実兄Cさんは最初から相続人でなかったことになり、相続権者がいなくなるので、特別縁故者の制度を使うことができることを説明しました。

実兄Cさんは、大変喜ばれ、相続放棄を当相談室に依頼されました。

相続放棄手続きでは、「他の者に相続分を増やす」などの理由も認められるので、相続放棄も認められ、その後法定の手続きと期間を経て、特別縁故者として申立てを行い、無事に認められました。

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その他(訴訟に発展したケース)

相続と訴訟その@〜遺産分割と不動産明渡請求

Aさん(次男)は、お父さんのXさんがお亡くなりになった時、故郷の不動産について、お母さんのYさん、ご兄弟のBさん(長男)とCさん(長女)とで遺産分割協議をしようとしました。しかし、Bさんは応じようとはしません。

Bさんは長男である事から、Xさんは、いわゆる「家を継がせる」というお気持ちから、20年ほど前に「帰って来いよ」と仰られ、Bさんは奥さんのB2さんと共に故郷の家に入居し、XYご夫婦は、同じ敷地の納屋を改造した離れに住むようになりました。
ところが、Bさんは、固定資産税などの支払いをしないのは勿論のこと、家の仕事をしなくなり、逆に多額の借金をして、XYご夫妻やAさんに肩代わりさせたり、B2さんのXYご夫妻に対してひどい態度をとるなど、目に余る行動が目立ち、ついにXさんから「出て行け!」と再三再四求められるようになっていた状態でした。このような時にXさんは亡くなられ、遺産分割協議が行われようとしていたのでした。

全く協議に応じようとしないBさんのために、Aさんは、YさんとCさんと共に、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てました。Bさんは、調停期日の一回目こそ出席しましたが(『家は出て行くが、細かい事とは次回の期日に明確にする』と言っていたそうです)、その後、10回以上もの期日が置かれたのに一度も出席する事はありませんでした。
結局、YさんとCさんの当初からのご意思の通り、お二人は持分をAさんに譲渡して調停を脱退し、AさんとBさんについては家庭裁判所の審判が行われ、当該不動産の全てをAさんが相続することとする審判が下され、確定しました。

Aさんは、YさんとCさんが調停を脱退した後、AさんとBさんの相続持分の登記をしておいたため、この審判による持分移転登記と、Bさんらに対し、家から立ち退いてもらうための訴訟を起こしたいとのご希望で、当相談室に来られました。
まず、Aさんは、Bさんの持分について、審判を原因とする移転登記をご依頼を頂き、登記を行いました。
次に、Aさんは、BさんとB2さんを相手取り、土地建物明渡と損害賠償を求める訴え(本人訴訟)を起こすことに決め、当事務所は、訴状その他の作成による支援を行う事となり、不動産の管轄地の地方裁判所に訴訟提起しました。

訴状でこれらの事情を丁寧に説明したAさんの主張のことごとくについて、Bさんらは、「全く関係ないもので余事記載である」と主張しながら、訴状で主張された事情をもって、Bさん夫妻の死亡を終期とする使用貸借権を得た、またはこれを時効取得した、との理論構成で答弁書を提出してきました。

裁判官は、第一回口頭弁論期日において、「終期など条件が付された使用貸借関係があったと主張するのであれば、契約書などがあるのでしょう?被告は、それを示す書面をもって証明しなさい」とだけ釈明が行われ、両当事者に事情を明らかにする陳述書の提出を求めてこられました。これについて、両当事者は陳述書を提出し、これらのことが明確に裁判官に伝わる事になりました。
第二回口頭弁論期日で、裁判官は、和解をさせようとしました。Aさんは、訴状で賃貸借などの契約関係を締結するつもりが無い事を宣言していたため、明け渡しは変わらないけれども損害賠償については考えるとしましたが、Bさん側(特にB2さん)が、裁判官に大きな声で悪態をつくなど、全く聞いた事がないような態度をとったため紛糾して終わりました。

裁判官は、何度かの期日を経て、最後の期日まで和解を図っていましたが、Bさん側が、訴訟とは関係のないことまで法廷で持ち出して強硬な態度を採り続けたため、結審し判決を下すことにしました。
判決は、不動産明渡しと損害賠償を認めました。理由は、
@Xさんが帰郷を促し、同じ敷地に住み、家業の一部を手伝うなどしていた事情から、亡くなったXさんとBさんとの間には、当該不動産について、Xさんが死亡し相続が開始した後も、遺産分割によりその所有関係が最終的に確定するまでの間は、引き続きBさんに無償で当該不動産を使用させる合意があったものと推定できるものの(最高裁平成8年12月17日判決)、上記推認は遺産分割後にまで及ぶものではなく、本件において遺産分割を経てなお、Bさんらが主張するような、Bさんらが死亡するまでの間、当該不動産を無償で使用させる旨の使用貸借関係が成立したと認めるに足りる証拠はない。
A土地に対する使用貸借上の借主の権利の時効取得が成立するためには、土地の継続的な使用収益という外形的事実が存在し、かつ、その使用収益が土地の借主としての権利の行使の意思に基づくものであることが客観的に表現されていることを必要とすると解すべきところ(最高裁昭和48年4月13日判決)、本件において、Bさんらが自ら認めている事実として固定資産税を負担していなかった事実もあり、このような権利行使を客観的に表現されていたと認めるに足りる証拠はない。
B審判以後は、Bさんらについては、賃料相当分の損害賠償の責任がある。
との内容で、ほぼAさんの完全勝利となりました。

判決確定後、AさんとBさんご夫妻は話し合い、Bさんたちは観念し、きちんと退去しました。



※コメント
今回の事例は、遺言による相続後の財産について、訴訟にまで発展したケースです。
遺言書の内容によっては、その遺言執行の時、またその後に様々な問題が発生することがあります。それだけに、遺言には注意すべき点が幾つもあります。
また、 本件に関しましては、ご本人が大変な勉強家で、事前に法廷でのやり取りを予想して、訴訟に臨んでおられました。
本人訴訟では、ご本人の強いご意志がまずとても大切です。
訴訟に関しましては、民事訴訟相談室にもご相談下さいませ。

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相続と訴訟そのA〜遺言書と共有物分割請求

Xさんは、Yさんの後妻になり、養子にはしなかったものの、Yさんの先妻の子であるY1さんとY2さんを育て、つつがなく暮らしておられました。
やがて、Yさんが亡くなり、yさんが残した遺言書により、Xさんは暮らしていたマンションを一人で相続することになりました。
しかし、Y1さんとY2さんは、これに不服で、遺留分減殺請求を行い、10分の1以下の僅かな持分ではありますが、Xさんと共有状態になりました。

その後は、Y1さんとY2さんは、全くXさんと交流が絶えている状態になりましたが、ある日突然、Xさんに「自分たちを養子にしろ」と迫りました。しかし、以前からのことがありましたので、Xさんは拒絶しておられました。

それから数年の後、Xさんは、体を悪くされ、いつもお世話をしていた甥のAさんに、マンションを遺贈する旨の公正証書遺言を作成されました。それから間もなく、Xさんは、マンションで孤独死の状態(病死)で発見されました。

マンションの内部は、Xさんが倒れた際にストーブが倒れたことによる小火があり、焼き焦げた部分もあったため、Aさんは、マンションの片づけとXさんの遺品の整理をしておきました。そこには、Xさんの個人の持ち物しかありませんでした。その上、もはやマンション内のものは廃棄するしかない状態になっていましたので、Aさんは、これらのものを全て業者の査定を受け、廃棄費用を支払って片付けを行いました。

Aさんは、Xさんの生前の希望の通り、Y1さんとY2さんには死亡を伝えず、ご葬儀を済まされました。
そして、葬儀後、自分がXさんの遺言書によって、この不動産の共有者となったことを通知し、共有物の分割を申し出ました。
しかし、Y1さんとY2さんは、様々な理由をつけてこれを拒絶したため、Aさんは、当相談室にご相談に来られました。

Aさんは、共有物分割請求をしたいこと、マンションなので現物分割はできないため、できれば競売による分割ではなく、全面的価格賠償による分割最高裁平成8年10月31日判決)をしたいとのご希望をお持ちでした。この場合、確かに判例の基準でも可能性があると考えられましたので、Aさんは本人訴訟による共有物分割請求訴訟(民法258条)を起こすことに決め、当事務所は、訴状その他の作成による支援を行う事となり、不動産の管轄地の地方裁判所に訴訟提起しました。

Aさんの主張は実に単純で、@共有物の分割を求めること、A分割方法は、全面的価格賠償によること、査定により、当該マンションは数百万円程度であり、Y1Y2の持分の価格として50万円程度で買い取りたいこと、それができない場合は競売によること、B遺贈後にさんが支払っている固定資産税や管理費等の建物の管理に関する費用(民法253条)について、持分に応じて支払うこと、などです。

Aさんの主張に対し、Y1さんとY2さんは、故Yさんのものも入っていたであろうマンション内の動産をAさんが勝手に処分したことにより、自分たちの「思い出の品」が無くなってしまった、これは不法行為にあたるとか、この訴訟はその不法行為に基づくものだから、訴訟に必要な交通費や宿泊費は損害に当たり、Aが負担すべきだとか、原告単独取得による分割に応じるにはやぶさかではないが、今回の場合、原告が持分を独り占めにするのだから、Aの所有権の価値は膨らむはずで、このような場合は限定価格による査定を行うべきだ、それで計算しなおせ、などと反論してきました。

Aさんは、これらの反論に対して、不法行為はなかったこと、またこれらは共有に関する債権(民法259条1項)にはあたらず、そもそもこの訴訟には関係ないこと、限定価格を主張するのであれば、主張する被告がその計算式を表して価格を主張すべきで、さらに別訴で不法行為の事実を主張立証せよ、と再反論しました。

二回目の期日にY1さんとY2さんはやっと出廷しました。被告側は、不法行為については「立証不可能だが、それは原告が破棄したことが証拠であるから明白である」とだけ主張し、限定価格については一切主張立証ができませんでした。裁判所は、不法行為は今回の訴訟にまったく関係ないこと、価格についてきちんと主張することを被告に求めました。

三回目の期日は、電話による和解が試みられました。被告側は、自分たちで主張してきた限定価格を何も主張せず、不動産業者による通常の価格査定書を多数出し、その中で倍以上の価格をつけた、とび抜けた異常な最高額の査定書ひとつだけを基準として倍以上の価格を挙げ、さらに、繰り返し様々な理由を付加して不法行為性を挙げ、さらにその不法行為分の損害賠償の価格を勝手に算定し、付加して主張してきました。どうやら、彼らが言いたいことは、二人でマンション価格の半額程度が欲しいことのようです。

これに対して、裁判所は、被告側に大変厳しい態度を見せました。不法行為は本件訴訟では関係ないと繰り返し釈明しておいたにも関わらず、あえてまた繰り返し主張し、それを理由に価格を決めてきたことについて、再度、価格算定に関係ないことを強い口調で釈明し、それだけいうなら反訴を提起すること、期間を決めてそれができないなら結審する旨、はっきりと宣言しました。

四回目の期日では、被告側は反訴提起を「体調不良のため今回はあえてしない。また、当方は原告に言いたいことが沢山あり、マンション名義が原告のものになることは許せないだけであるから、競売を求める」とだけ陳述し、結審しました。

判決は、原告主張とほぼ同額の金額による全面的価格賠償による分割(全面的価格万象のよる分割方法によること、持分相当額の確定、およびその支払の引換に移転登記を認める引換給付判決)と維持費等の支払請求を認めるものでした。理由は、
@本件建物は分譲マンションであるから現物分割は不可能であり、当事者双方とも原告の単独取得に反対していないこと、原告が持分の大半を有していることから、原告に本件建物の所有権を取得させ、被告らに価格賠償金を支払わせる分割方法によるのが相当である。
A当該建物について当事者双方が算定した中で平均をとれば、概ね数百万(※原告が主張した金額に近似した金額)に収まっていることが明白であるから、この価格を基準にした持分割合に相当する金額の価格賠償金支払わせる旨の分割をすることとする。
BXの死亡後、当該建物は空き家で、当事者双方による排他的使用収益がなかったのであるから、本件建物の管理に関する費用(民法253条)については、共有持分に応じて負担すべきものであるから、原告がX死亡後負担した本件建物の管理費用については、事務管理費用の償還請求権ないし不当利得返還請求権に基づき、原告の被告らに対する費用償還請求権を認容できる。
との内容で、ほぼAさんの完全勝利となりました。


※コメント
今回の事例は、相続をきっかけに訴訟にまで発展したケースです。
このような訴訟に至るまで遺産分割が紛糾することは、全体としてはそれほど多くはないのですが、話し合いに応じないなど、前に進めるためには、解決に向けて、ご本人の粘り強いご意志と、法的手続が必要になってくる場合もあります。
本件に関しましては、ご本人が大変な勉強家で、また訴訟の進め方や主張内容に関しましても、よく検討されている方でした。
相続問題では、場合によっては、法的手続を辛抱強く行う、ご本人の強いご意志がとても大切になることもあります。
訴訟に関しましては、民事訴訟相談室にもご相談下さいませ。

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